メモリアル・ボックス
ナラ材 漆仕上げ W350×H550×D280 (2002年)  価格 450,000円

    

知り合いのガラス工芸作家の方から注文をいただきました。市販の仏壇では好みに合わないのでと、スケッチを数枚描いて送って来ました。その中から一つを選んで作ったのが、この厨子です。

木工家だったら、このような形は思いつかないでしょう。ガラス工芸家は木の性質には無頓着なので、思い通りの形を絵に描きます。しかし、木工家にとっては、それを実現するのはたいへんな苦労です。それが逆に幸いして、想像したこともない形の作品が出来上がりました。

西洋の教会建築のような雰囲気です。扉を開けた姿も美しい。扉と、それを囲む正面の板は、凸型にカーブしています。

扉の内側は、反対にえぐってあります。扉の上の板の裏側も、扉に合わせてえぐってあります。そうしたものの、見えもしない部分に、そこまで手をかける必要があるかと、我ながら疑問でした。展示会であるお客様にその話をしたら、そのようにしたのは正しかったと褒められました。厨子の内部に安置する位牌は、こちら側を向いているのだから、と。

扉と、それを囲む正面の板は、木目が通っています。つまり、一枚の板から切り出されています。面倒な加工の積み重ねは、全てが一発勝負でした。



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